斑紋多型を示ナミテントウを用いた解析 piggyBacベクターを用いて、Ha-th、Ha-ddc、Ha-lac2遺伝子のプロモーター上流域をEGFP遺伝子につないだレポーターアッセイ・ベクターを導入した形質転換ナミテントウ作出し、それぞれのコンストラクトにつき複数系統を用いてレポーターアッセイによる解析を行った。その結果、これらの遺伝子が内在的に発現する蛹後期の翅原基においてEGFPの蛍光は認められなかった。 ミュラー型擬態を示すテントウムシ科内の種およびテントウムシと上科レベルで異なるへリグロテントノミハムシを用いた解析 ナミテントウ、ニジュウヤホシテントウ、へリグロテントウノミハムシより、tan遺伝子のクローニングを行った。次に、蛹期の前翅原基を用いて、半定量性RT-PCR法による発現解析を行った。その結果、いずれの昆虫においてもtan遺伝子はメラニン合成やクチクラの硬化反応が高まる蛹後期で発現が高くなることが明らかとなった。さらに、ナミテントウおよびニジュウヤホシテントウにおいて、larval RNAi法を用いてtan遺伝子の機能解析を行った。その結果、tan遺伝子のノックダウンによりNBADからdopamineへの変換がなされずメラニン合成に使われるdopamineの量が減るため、メラニン化が抑えられるという予想に反し、tan遺伝子のRNAi個体では、両種においてコントロールと比べ顕著な表現型の差異は観察されなかった。したがって、ナミテントウおよびニジュウヤホシテントウのtan遺伝子はともにクチクラの硬化や着色には大きく関わっていないことが示唆された。
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