タバコに病気を起こして枯らせてしまうOE1-1株とタバコにHRを誘発する株として8266のドラフトゲノム解析を行った。8266株はミヤコグサに対しても病原性を示すことが知られている。そのため、タバコとミヤコグサの両方の宿主域の決定機構が解明できると期待した。いずれのドラフト解析においてもコンティグ数が1000以上ある状況である。各コンティグについてレファレンス株であるGMI1000に対してBLAST解析を行い、遺伝子配置について調べた。当然ながらほぼゲノム全体にわたりシンテニーが確認できた。GMI1000株は3.7Mbの染色体と2.1MBのメガプラスミドの2つのレプリコンを持っていることが知られているが、今回ドラフトゲノム解析を行ったOE1-1株、8266株ともに同様にレプリコンは2つであった。シンテニーを示さない領域はメガプラスミドにより多く見られた。2種類の日本分離株間どうしのシンテニー領域は、GMI1000とOE1-1、GMI1000と8266間におけるシンテニー領域よりも広いことが明らかとなった。すなわち、同じphylotype Iに属するにもかかわらず、南米で分離されたGMI1000株と日本株の間ではdiversityがより高いことが示された。同様のことは、挿入配列についても見いだされた。GMI1000株には16種類のIS配列が確認されている。OE1-1株は解析途中であるが、8266に関してはGMI1000よりもISの挿入部位が少ないことが明らかとなった。これらのことから日本分離株のレファレンス株の完全長配列の必要性が再確認された。現在、フォスミドクローンの末端配列解析を行うクローン数を大幅に増やして、完全長の配列解析を進めている。
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