研究課題
1) 統合失調症関連遺伝子群の上流調節領域の全変異検出による自然選択の検出NMDA型5種、AMPA型4種、カイニン酸型5種及びメタボトロピック型5種のゲルタミン受容体遺伝子の上流領域各4-5kbを対象に、ヒト72検体及びチンパンジー50検体で全変異検出を行い頻度スペクトラム法(Tajima's D(以下TD))による中立性の検定を行った。その結果NMDA型であるGRIN2Bの転写開始点の上流1.5 kb付近においてヒト特異的にTDが有意な上昇(TD=+2.19)領域が見出された。同様に、GRM1転写開始点の上流3.7 kb付近において日本人とヨーロッパ人でTDが有意な上昇(TD=+2.25,TD=+2.17)が見出された。いずれの領域もチンパンジーでは有意な自然選択は検出されず、これらの領域はヒト特異的平衡選択の対象となった可能性が示唆された。2) GRIN2B上流領域の連鎖不平衡解析と合体シミュレーションによるハプロタイプ年代推定1) で有意な平衡選択を検出したGRIN2Bの領域の全変異データからハプロタイプ推定と連鎖不平衡解析を行ったところ、TD上昇のピークをなすcommon SNP(rs12368476)を含む連鎖不平衡ブロック(r^2>0.9)を見出した。GeneTreeによる合体シミュレーションの結果、この領域の2種のハプロタイプの起源は130万年前と極めて古く、平衡選択によって安定して両ハプロタイプが維持されて来たことが示された。このブロック内の別のcommon SNP(rs1019385)は、統合失調症との関連が個別研究及びメタ解析で繰り返し報告されており、我々がGRIN2B上流領域に見出した平衡選択は統合失調症に関連する表現型をターゲットとしていると結論した。
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