研究課題/領域番号 |
20017028
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所) |
研究代表者 |
松尾 勲 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), 病因病態部門, 部長 (10264285)
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研究分担者 |
吉田 千春 地方独立行政法人大阪府立病院機構, 大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), 研究員 (60360666)
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キーワード | マウス / BAC / 前後軸 / Wntシグナル / 進化プロセス / ゲノム / Dkk1 / 前脳形成 |
研究概要 |
1、カノニカルWntリガンドであるマウスWnt8Aとその括抗因子であるDkk1を過剰に発現したマウス胚の表現型を解析した。これまでに、Dkk1遺伝子を過剰に発現させると前脳領域が拡大し、Wnt8Aを過剰を発現させると逆に前脳領域が縮小していた。実際どのような細胞レベルでの現象を介して、Wntシグナルが前脳の大きさを制御しているのか明らかにするため、より詳細な解析を行った。まず、連続組織切片を作製し、終脳の形成過程における外胚葉組織の形態を観察したところ、頭部の神経管が閉鎖する時点で既に、前脳の大きさに有意な差があることを見いだした。さらに、光学顕微鏡レベルの解析及び電子顕微鏡レベルの解析を行ったところ、表皮外胚葉と神経上皮の境界が曖味になり、表皮外胚葉の一部がより神経上皮に類似した形態を示していることが分かった。この結果は、Whtシグナルが、神経上皮と表皮外胚葉の運命決定に何らかの機能を果たしていることを強く示唆している。2、哺乳動物胚において、もっとも最初に前後軸決定がなされる組織は、臓側内胚葉と考えられている。現在までに、臓側内腫葉内の前後軸に沿ったWntシグナルの非対称性が、軸決定に重要な機能を果たしていることを明らかにしてきた。そこで、Wntシグナルの非対称な分布がどのような非コードゲノム機能の獲得で起こったのか解明するため、キーとなっているマウスDkk1遺伝子の臓側内胚葉における発現制御機構の解析を行った。まず、Dkk1遺伝子の非コードゲノム領域約200kbをもつBACベクターを用いて、大腸菌内の相同組み換え法を用いて、Dkk1遺伝子産物と融合するようにレポーター遺伝子(蛍光タンパク質YFPの一種Venus)を挿入した。また、Dkk1遺伝子座全体を他の脊椎動物種の非コード領域と比較することで、10以上の高度に保存された非コード領域を見いだした。
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