1. 遺伝統計学的解析法の開発 (1) ゲノムワイド関連解析用SNPチップを用いて実験的に得られたコピー数多型(copy number variation ; CNV)データ(各個体の総コピー数のデータ)から、各CNVアリルの頻度を推定し、CNVアリルの頻度)をケースとコントロールで比較する統計学的手法を開発した。 (2) ゲノムワイド関連解析または候補遺伝子アプローチにより有意な関連が検出されたゲノム領域について、その連鎖不平衡情報をHapMapデータベースから取得し、実際にはタイピングをしていないSNPについても、その統計学上の関連を評価し、その領域をさらに解析すべきか否かの判断を行うアルゴリズムを開発した。 (3) 系統樹理論に基づき、系統発生上可能な複数のハプロタイプの組合せを考えることで、検定の検出力を向上させるアルゴリズムの評価を行った。 (4) 疾患関連解析の候補遺伝子に対し、対立遺伝子頻度の低い有害変異のスクリーニングに必要な患者検体数、関連解析のサンプル数などを算出するアルゴリズムの評価を行った。 2. デング出血熱関連遺伝子研究 タイ国の病院で治療を受けたデング熱患者(デング熱患者およびデング出血熱患者を合計した約1100名)を対象とし、5q31領域を候補領域として47個のSNPにおける関連を評価したところ、インターロイキン遺伝子が含まれる領域のSNPが有意にデング出血熱と関連していた。さらに、周辺の領域のSNPをタイピングし、関連多型が存在しうる連鎖不平衡ブロック領域を確定した。
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