研究概要 |
1) 超好熱菌を宿主としたタンパク質の分泌生産 : ChiΔ4遺伝子の上流にTK1675の分泌シグナルペプチド配列を融合し、ChiΔ4の分泌生産を試みた。Promoterとしては強力な構成型csg promoterを利用した。形質転換体を培養した結果、培地上清にChlΔ4 proteinの顕著な蓄積が認められ、細胞抽出画分にはChiΔ4が検出されなかった。これらの結果から、TK1675の分泌シグナルペプチドが高効率分泌生産に利用可能であることが分かった。次に耐熱性proteaseをコードする2つのORF(TK1675, TK1689)の大量分泌発現を試みた。野生株ではcaseinの分解活性は検出されなかったが、各形質転換株には顕著な分解活性が観察され、耐熱性protease高発現株が得られた。 2) 超好熱菌におけるcell engineering : T. kodakaraensisはデンプンやpyruvateを炭素源として水素生産能力を示す。本菌には2種のhydrogenase(Hyh, Mbh)が存在する。Hyhは水素の吸収に関与し、得られた電子はalanine aminotransferase(AlaAT)を介してpyruvateの還元に利用される。一方Mbhはpyruvateの酸化に伴って得られる電子を利用して水素を生産する。水素の再吸収反応を抑制するため、AlaAT遺伝子(aat)およびHyh遺伝子(hyh)の両遺伝子破壊株DPHA1株を作製した。 DPHA1株は宿主細胞と比較して10%程度高い水素生産能力を示した。次に膜型Mbhの遺伝子発現を増強させ、DPHA1株を宿主として、mbhをcsg promoterの支配下においた。これにより得られた組換え株の水素発生速度はDPHA1株より26%も増加していることが判明した。
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