研究課題
滋賀県長浜市の研究フィールドにおいて年齢階級別に層別化したうえで無作為抽出を行った成人一般市民からの質問紙への解答(回収部数1060部、回収率53.0%)で、このうち回答不可を述べた4人を除く1056人分(男性471人女性579人)を解析に用いた。主要エンドポイントである血液試料に対する積極性については、1056人中「研究参加のために血液試料を提供したい」が36.3%(383人)、「わからない」が42.3%(447人)、「提供したくない」が13.0%(137人)であった。積極的に血液試料を提供したいと考える人が3分の1いる一方で、わからないとして態度を保留する層がそれ以上いるということが今回の調査で示唆され、この方達のゲノム研究への正しい理解とより積極的な協力が、今後のゲノム研究推進に大きな意味を持つと考えられた。逆に提供したくないという意志を表明している方々のなかで、理解の不足や誤解に基づく拒否を少しでも減らしていく努力が必要と考えられた。また「研究参加のために血液試料を提供したい」理由のうち最も回答数が多かったものが、「子や孫の世代の健康づくりに役立つ」で383人中62.7%(217人)、「わからない」「提供したくない」理由のうち最も回答数が多かったものが、「予期しない不利益があるかもしれない」で、584人中37.2%(217人)であった。また、「わからない」「提供したくない」人が「提供したい」に転じるための条件としては「自分の解析結果を教えてもらえる」が最も多く、584人中45.2%(264人)であった。自分自身の利益のためよりも、子や孫の世代の健康づくりに役立つことが上位にきたことは、宗教的な背景から西洋諸国に比べてボランティア精神が根付いていないと言われることもある我が国においても、利他的な精神はしっかりと存在していることを示唆していると考えられる。
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