研究概要 |
(1) ローカスワイド関連解析 : グルタミン代謝遺伝子群のGAD2およびGLULについて、連鎖不平衡を考慮し選択したSNPを用いて関連解析を行った。単点でもハプロタイプ解析でも関連は見いだせなかった。またこれらのグルタミン酸代謝関連遺伝子と、6個のグルタミン酸受容体遺伝子GRIA4、GRIN2D、GRIK3、GRIK4、GRIK5、GRM3との遺伝子間相互作用の統合失調症発症への関与をMDR(multifactor dimensionality reduction method)法で解析したが、有意な相互作用は見られなかった。 (2) ゲノムワイド関連解析 : 3段階からなる全スクリーニング終了後、各スクリーニング間で有意差の見られるアレルの再現性の確認等を行い59マーカーを選択した。これらのマーカーを中心に200kbの領域におけるMAF>0.1,r^2>0.8のTagSNPを合計1,564個選びタイピングを行った。その結果167個のSNPに有意差が認められた。複数の検定で有意差がみられる31個のSNPについて、スクリーニングサンプルとは独立の約2,400ペアのサンプルによる確認のための関連解析を行ったところ1個のSNPに有意差が認められた。 (3) 個体を用いた機能解析 : 先に関連を報告し作出しだGluR4ノックアウトマウスのC57BL/6マウスへの戻し交配系統を用いて行動解析を行った。その結果、統合失調症のエンドフェノタイプであるPrepulse inhibition(PPI)の障害が見られた。また変異型マウスは野生型マウスより早いタイムコースでNMDA型受容体の選択的人工アンタゴニストMK-801による影響があらわれ、MK-801に対する感受性が増大していることがわかった。以上からGRIA4が統合失調症の病態の一端を担っている可能性が考えられた。
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