研究課題/領域番号 |
20018028
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研究機関 | 千葉県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
大平 美紀 千葉県がんセンター(研究所), 臨床ゲノムセンター・がんゲノム研究室, 室長 (20311384)
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研究分担者 |
磯貝 恵理子 臨床ゲノムセンター, がんゲノム研究室, 上席研究員 (40300917)
中川原 章 臨床ゲノムセンター, 研究局, 研究局長 (50117181)
大羽 成征 京都大学, 大学院・情報学研究科, 講師 (80362838)
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キーワード | 発生・分化 / マイクロアレイ / 遺伝子 / ゲノム |
研究概要 |
神経・肝の発生分化における遺伝子発現ネットワークの解明と、神経芽腫・肝芽腫の発生および疾患メカニズムの解明を目指し、本年度は以下を進めた。 1)神経芽腫腫瘍サブセット間における発現量の異なる遺伝子の解析 これまでのスクリーニングから抽出した2つの遺伝子TSLC1とncRANlこついて解析を進めた。ncRANは、神経芽腫で高頻度に増加する17q25に座位し、進行神経芽腫において特異的に高発現を示した。様々な解析からncRANが新規非コードRNAであることが示唆された。発現レベルが神経芽腫の予後と強く相関すること、過剰発現時に神経芽腫細胞のコロニー形成能を亢進し、ノックダウン時に細胞増殖が抑制されることから、ncRANの高発現は、神経芽腫の細胞増殖亢進に関与していることが示された。今後はこれらの遺伝子の転写制御についての解析や遺伝子変異検索を行い、病態との関連について解析を進める。 2)神経発生分化関連転写因子群の神経芽腫細胞における遺伝子発現解析 癌遺伝子LMO3やMYCNが関わるMASH1などの神経発生・分化関連転写因子群の転写制御機構について解析を進めた。発生初期の神経組織におけるこれらの遺伝子の発現の追跡を目的に、遺伝子導入マウス胚の作製を開始した。 3)診断用チップの臨床応用 神経芽腫の診断ミニチップに新たにアレイCGH法によるリスク分類システムを組み合わせ、臨床における評価を進めた。新規登録症例を含め約150症例のデータを蓄積した。一方、188例の神経芽腫のゲノムコピー数異常の解析から、がん関連チロシンキナーゼ遺伝子ALKの増幅と変異を見いだした。本遺伝子の変異を持つ症例については、今後阻害剤を導入した新規治療法の開発が期待される。本研究においても、腫瘍リスク分類システムにALK遺伝子変異を取り入れるため、今後ALKの神経芽腫における意義付けを行う予定である。
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