• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2008 年度 実績報告書

海馬神経回路の活動パターンの形成と維持

研究課題

研究課題/領域番号 20019014
研究機関東京大学

研究代表者

池谷 裕二  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (10302613)

キーワード神経回路 / 自発活動 / スパイン / 可塑性
研究概要

脳は多彩な個性をもつ神経細胞の集合体であり、高度に組織化され、緻密なネットワークを内包している。時空的に協調した神経活動は脳高次機能の基礎をなしていると考えられ、種々の神経疾患との関連も報告されている。今回、新規に確立した高速多ニューロンカルシウム画像法を海馬のCA3野回路に適用し、自発的なネットワーク活動をミリ秒以下の時間分解能で捉えることに成功したので報告したい。自発活動の時空パターンにおいて細胞間の活動同期性に着目し、局所ネットワークに潜在する機能的なサブグループを導きだした。局所回路に潜在するシステム構造を解明するため、二細胞間の同期活動に焦点を当て、ネットワーク上での各細胞ペアの相互グラフを再構築することを試みた。二細胞間活動についてその同期性の定量化を行い、同期性により規定される細胞間の機能的な結合を細胞マップ上で表現した。ここではポアソン過程を仮定したときに期待される同期の確率を基準として評価した。まずクラスター分析を行い、ネットワーク上に存在する個々の細胞がいくつかの下層グループに分類されることを見出した。このことから、回路の同期活動は、機能的な細胞集団、すなわちセルアセンブリーを反映していると考えられた。同期性ネットワークおよび細胞集団を生む機能的基盤として、共通した上流の細胞からのシナプス入力に注目し、パッチクランプ法を用いて複数細胞からの同時記録を行った。記録された出力・入力のそれぞれの時系列パターンについて、発火活動の同期性と細胞間での入力相関の算出を行い両者の関係を比較した。その結果、抑制性入力は発火同期性の高い細胞ペア、低いペアのいずれにおいても一様に高い相関を示すのに対し、興奮性入力は同期性の高いペアにおいてより高い相関を示した。したがって共通した興奮性入力が発火出力の同期性に関与することが想定される。以上の結果は、ネットワークレベルで協調した活動を示す細胞集団が背景に存在することを示唆している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Experience-dependent, rapid structural changes in hippocampal pyramidal cell spines2009

    • 著者名/発表者名
      Kitanishi, T., Ikegaya, Y., Matsuki, N., Yamada, M. K.
    • 雑誌名

      Cerebral Cortex (in press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fast and accurate detection of action potentials from somatic calcium fluctuations2008

    • 著者名/発表者名
      Sasaki, T., Takahashi, N., Matsuki, N. Ikegaya, Y.
    • 雑誌名

      J. Neurophysiol 100

      ページ: 1668-1676

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Long-range axonal calcium sweep induces axon retraction2008

    • 著者名/発表者名
      Yamada, R., X., Sasaki, T., Ichikawa, J., Koyama, R., Matsuki, N., Ikegaya, Y.
    • 雑誌名

      J. Neurosci. 28

      ページ: 4613-4618

    • 査読あり
  • [学会発表] 海馬シナプスにおける急速で一過性の経験依存的な構造変化2009

    • 著者名/発表者名
      北西卓磨、山田麻紀、池谷裕二、松木則夫
    • 学会等名
      第82回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2009-03-17

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi