研究課題/領域番号 |
20019026
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
相原 威 玉川大学, 工学部, 教授 (70192838)
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研究分担者 |
福島 康弘 玉川大学, 脳科学研究所, グローバルCOE研究員 (00384719)
佐々木 寛 玉川大学, 工学部, 准教授 (70261691)
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キーワード | 海馬 / デンドライト / 逆伝搬活動電位 / 抑制性細胞 |
研究概要 |
ラットの海馬CA1野ニューロンにおいてSTDP (Spike timing dependent plasticity;スパイクタイミング依存性可塑性)を指標としてデンドライの入力場所依存性を調べ、PD (Proximal Dendrite;樹状突起細胞体近位部)入力部とDD (Distal Dendrite;樹状突起細胞体遠位部)入力部で顕著な違いがみられることを報告した。次に、この入力情報処理の場所依存性を踏まえ、入力の相互作用を考え、PDとDDの入力に着目し、PDへの入力がBPAP (Back propagating action potential;逆伝搬活動電位)をキャリアとしてDDの情報処理に影響を与えることを仮定し、BPAPとPD入力のタイミングの違いがDDに及ぼす影響を応答のダイナミックスを計測することにより明らかにしてきた。 本研究では、可塑性神経回路の情報統合の解明を目的に、入力部位への時間構造の違いに着目し、STDP(可塑性)誘起における入力間相互作用を調べた。結果より、PD及びの入力のタイミングの違いにより、それぞれの情報処理(STDP)に顕著な違いがみられることが分かった。その要因としてはローカルな抑制性回路の入力タイミングに依存した影響があげられ、またBPAPがPDからの入力情報(タイミング)のキャリアとしてDDでの情報処理に大きく関わる事も明らかになった。さらに21年度では、DDの入力によりPDの紹鴎処理への影響も解析し、その相互作用まで明らかにした。本研究における入力間相互作用は、ネットワークの結合変化を考える上で重要な役割を担い、新たな情報統合の学習則を示唆するものである。 とくにSTDPへの抑制性細胞の影響に関する成果は現在J. Neuroscienceに投稿中である。
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