ゴール指向的にスクリーン上のオブジェクトの位置を両手で操作する課題をサルに訓練して手前頭前野の細胞活動の解析した。動作開始前の遅延期間中には、複数の種類のゴール関連細胞が見出された。すなわち最終的にどこへ到達するかということを符号化する最終ゴール関連細胞活動と最初にどこへ到達するかという即時ゴール関連細胞活動である。これらのゴール情報の細胞活動に関して時間経過を解析すると、遅延期間の最初は最終ゴールを表現している細胞が多く、遅延期間後半には即時ゴールを表現するものが増えてくる。また、同じ細胞がゴール表現を徐々に最終ゴールから即時ゴールへ変換させる細胞も多数見出された。このゴール変換する時期に同期性を解析すると、一過性に増加する傾向が見出された。前頭前野は、保持した情報をゴール指向的に課題遂行に必要な他の情報へ変換する過程にかかわり、しかもそのときに細胞間の活動相関が上昇して、回路の状態変化がその背景にあることが示唆された。
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