研究概要 |
言語・記憶機能マッピングの脳機能画像と実際のECoG計測結果、電気刺激による脳機能マッピングについて、患者の神経脱落症状に結びついた課題を確立した。認知ECoGの時間-周波数解析により、特定周波数帯域の同期(β、γ帯域等)、脱同期(β帯域等)に関する検討を行った。同時に加算波形、周波数変化に関する統計解析法も検討した。さらに有意な電位変化について相関係数、t検定などを応用していった。また、海馬近傍部の活動に着目して記憶機能との関連性を検討した。naming課題に用いた図形を用いて、記憶課題によるECoG計測を行い、同じ刺激を用いたnamingと記憶課題時の海馬活動の違いを解析した。過去にP300の起源に海馬が関係しているとの報告があるため、音刺激、視覚刺激によるP300の海馬近傍部ECoGを解析してみた。その結果刺激呈示後600msec付近で海馬近傍に統計学的に優位な陰性波を認めた。また、覚醒下手術においては切除領域における白質刺激部位とその刺激強度、tractography上の弓状線維との関係も検討した。弓状束tractographyを刺激したときには物品名称の障害が出現した。刺激部位が弓状束tractographyの2mm以内に近接したときには常に同様の症状が出現した。MEG、fMRI,皮質電気刺激、認知ECoGにより検出されたヒト高次脳機能とtractographyにより白質線維連絡を融合することで、ヒト脳機能ネットワークを解明することができる可能性を示唆できた。将来的には各活動部位のつながりを確認するために、活動部位1ヶ所を0.2msec3-5mAの電気刺激することにより皮質-皮質誘発電位(CCEP)を関連脳部位から導出する。
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