研究概要 |
覚醒行動マウスにおける大脳皮質錐体細胞からのホールセル記録と2光子イメージングを行うことを目的として新しい方法の開発を行った。2光子イメージングを用いた独自のin vivo可視化パッチクランプ法を開発し、麻酔下および覚醒拘束下のマウス、ラットにおけるホールセル記録を行ってきた。脳内の細胞外領域に蛍光色素を導入することで、個々のニューロンの「影」を可視化して選択的に、非常に高い効率で長時間安定したホールセル記録を行うことが可能となっている(Kitamura et.al., Nat. Methods, 2008)。これまでに、覚醒マウスにおける大脳皮質一次運動野の第2/3層錐体細胞のホールセル記録を行い、覚醒状態における自発活動および自発的な洞毛運動(Whisking)による膜電位変化を計測することに成功している。過去の体性感覚野における報告と同様に、quiet periodにおける膜電位のup-down Stateや、whiskingに対応したup状態が確認されている。今後、マウスの活動状態による膜電位変化やシナプス入力について詳細に解析を行うとともに、Iocal population activityと単一ニューロン活動の相関について、2光子カルシウムイメージングとホールセル記録を組合わせた計測を行う。次に、行動中のマウスにおいてホールセル記録や2光子イメージングを行うために、頭部固定状態でも運動が可能なトレッドミルの開発を行った。これによって、頭部を固定した状態でも、一週間程度の訓練を行うことで、マウスにトレッドミル運動を行わせることが可能になった。今後、トレッドミル運動中のマウスにおいて、大脳皮質運動野の錐体細胞におけるホールセル記録を行い、運動量と活動電位やシナプス入力の定量的な関係を明らかにしていきたい。
|