研究課題
メダカにおいて、既に報告した遺伝子kiss1のほかに、そのパラログとみなしうる遺伝子kiss2を発見したので、両者の生殖中枢制御機能について解析した。まず各種脊椎動物のゲノムデータベースを検索し、系統発生的な考察を加えたところ、脊椎動物進化の初期にすでに2種類のキスペプチンが存在したことが明らかとなった。魚類でもミドリフグなどではゲノム中にkiss1が見出されず、kiss2のみが確認された。そこで、kiss2が生殖調節に関与している可能性についてkiss1と比較しつつ解析した。in situ hybridization法により繁殖・非繁殖状態でmRNA量を解析したところ、両者は異なる神経細胞集団に存在しており、kiss1は繁殖状態で発現が高く非繁殖状態で低いのに対してkiss2の発現には有意な変動は検出されなかった。また、メスのkiss1遺伝子発現は卵巣除去により強く抑制を受けるがkiss2遺伝子発現は全く影響を受けなかった。さらに、kiss1ニューロンはエストロゲン受容体α(ERα)を発現するが、kiss2ニューロンは発現しないことが分かった。これらのことから、メダカではkiss1のみが性ステロイドに感受性をもち生殖調節に関与しているがkiss2は生殖以外の新たな機能を進化の途上で獲得したのではないか、と結論付けられた。一方で、3種類全てのGnRHニューロンについて、それぞれがGFP標識されたトランスジェニックメダカを用いて電気生理学的解析を行ったところ、下垂体刺激ホルモンとしてはたらくGnRH1ニューロンと脳内で神経修飾作用をもつGnRH2, GnRH3ニューロンでは電気活動パターンが異なることがわかった。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (12件)
Endocrinology 151
ページ: 695-701
ページ: 1751-1759
Journal of Neurophysiology 103
ページ: 1375-1384
Journal of Fish Biology, Special Issue "Reproductive Physiology' 76
ページ: 161-182
Journal of Neuroendocrinology 21
ページ: 489-505
ページ: 527-537
ページ: 334-338