研究課題/領域番号 |
20021019
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
姜 英男 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50177755)
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研究分担者 |
齋藤 充 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (50347770)
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キーワード | 大脳皮質 / 機能カラムー / バレル野 / 味覚野 / GABA / 側方抑制 / 同期化 / PRIP |
研究概要 |
大脳皮質感覚野バレル領野及び島皮質における機能カラム間の同期化及び脱同期化にGABA_A抑制系が如何に関与するかを明らかにするため、膜電位感受性色素を負荷したラットおよびマウス大脳皮質薄切標本において光学的膜電位測定を行ない、カラム内やカラム間での活動の同期化を指標にGABA_A抑制系の機能を解析した。また、野生型マウス(WT-M)に加え、GABA_A受容体の膜発現に関与するPRIP-1/2分子をノックアウトしたマウス(DKO-M)を用い実験を行なった。IV層刺激によって生じた興奮は、II/III層へと伝播し、そこで水平方向へと広がり隣接カラムへ及んだが、これに対して島皮質では、IV層からII/III層及びV/VI層へと垂直に両方向へ広がり、カラム状の興奮パタンを示した。bicuculline(BIC)或いはpicrotoxin存在下では、第IV層に電気刺激を与えると、バレル野では、興奮がII/III層に垂直伝播した後、隣接カラムに波及する速い水平伝播が見られた。一方、島皮質では、IV層に引き起こされた興奮は、上下両方向へ伝播するカラム様パタンを示し、味覚野においても機能カラムが存在することが示唆された。また、こうした興奮伝播パタンのこれらの領野間での差異は、BICの投与により、さらに顕著になった。DKO-Mのバレル野では、野生型に比べて、II/III層での水平方向の興奮伝播の範囲が限局的で、その時間経過も速かった。このことは、DKO-Mでは側方抑制が強力であることを示唆している。実際、BICI投与により、水平方向の去興奮伝播の範囲は野生型と同程度或いはそれ以上にまで拡大した。このBICによる水平方向の興奮伝播範囲の拡大は、WT-Mでは、NMDA拮抗薬で部分的に阻害することができたが、DKO-Mでは、NMDA拮抗薬は無効であった。こうした所見から、DKOマウスでは、GABA_A受容体の性質のみなちず、そのことによりNMDA受容体の発現も影響を受けている可能性が考えられた。
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