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2008 年度 実績報告書

シグナルソームによる神経軸索の伸長機構

研究課題

研究課題/領域番号 20021020
研究機関神戸大学

研究代表者

匂坂 敏朗  神戸大学, 医学研究科, 教授 (80359843)

研究分担者 山本 泰憲  神戸大学, 医学研究科, 助教 (30467659)
キーワード小胞融合 / SNARE / トモシン
研究概要

これまで、私どもは神経伝達物質の放出にSNARE系の活性制御タンパク質であるトモシンが抑制的に働くことを明らかにしている。トモシンはt-SNAREであるシンタキシン-1とSNAP-25とトモシン複合体を形成し、小胞融合に必須なSNARE複合体の形成を抑制することにより、神経伝達物質の放出を制御している。トモシンによる小胞融合抑制は、神経細胞の軸索形成にも重要な役割をしている。伸長中の軸索において、トモシンは成長円錐の後方部におけるSNARE依存的な小胞融合を抑制し、先導端での小胞融合を促進することで軸索の伸長を促進する。
本年度は、トモシンの生体での機能を明らかにするために、トモシンノックアウトマウスを作成した。トモシンノックアウトマウスでは、海馬苔状繊維終末における神経伝達物質の放出が亢進しており、短期記憶に異常が認められた。しかし、トモシンノックアウトマウスでは、SNARE複合体量が野生型マウスよりも減少するという全く予想と逆の結果を得た。小胞融合にはSNARE複合体の多量体化の関与が示唆されていたことから、トモシンのSNARE複合体の多量体化における効果を生化学的に検討した。その結果、トモシンのN末端側のWD40リピートドメインがt-SNAREと結合し、トモシンはSNARE複合体の形成と多量体化を促進していることが明らかとなった。また、培養ラット上頸交感神経細胞において、WD40リピートドメインがアセチルコリン放出を抑制した。以上の結果から、N末端側のWD40リピートドメインによるSNARE複合体の多量体化の促進とC末端側のv-SNARE相同領域によるSNARE複合体形成の抑制の二つの作用により、トモシンが強力に神経伝達物質の放出を抑制することが明らかになった。
このように本年度は、トモシンの作用機構について当初の計画以上の成果をあげることができた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Dual inhibition of SNARE complex formation by tomosyn ensures controlled neurotransmitter release.2008

    • 著者名/発表者名
      Toshiaki Sakisaka
    • 雑誌名

      The Journal of Cell Biology 183

      ページ: 323-337

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A cell-free assay for endocytosis of E-cadherin.2008

    • 著者名/発表者名
      Toshiaki Sakisaka
    • 雑誌名

      Methods in Molecular Biology 440

      ページ: 77-87

    • 査読あり
  • [学会発表] Vesicle transport-dependent Rapl activation and its implication inneurite outgrowth2008

    • 著者名/発表者名
      Toshiaki Sakisaka
    • 学会等名
      BMB2008
    • 発表場所
      神戸国際展示場
    • 年月日
      2008-12-09

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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