我々は、最近我々が開発した生体内線維結合イメージングを用いて、カラムサイズのコネクションシステムをサルTE野への蛍光トレーサーの微量注入で可視化し、この注入部位へ投射するTEO野内のコネクションカラムとTE野カラムから視覚刺激による反応を多点同時神経活動記録し、このTEO野からTE野への投射により起こっている物体認知情報変換過程の様式・メカニズムに迫ることを目指している。本年度は、この生体内線維結合イメージングに関して検討した。手法としては、手術により露出したTE野、または光学測定および機能的電気生理用のチャンバーをおいたTE野に逆行性トレーサー・コレラトキシンB-subunit (CTB)- Alexa 555 を少量(0.12-0.15μl)注入し、機能的カラムサイズ(約500μm)程度の注入部位を作る。 7-1 4日間後に、再手術を行いTE、TEO、またはV4野を露出、またはチャンバーをつけたサルに関しては、そのチャンバー内の脳表面から、デジタル蛍光顕微鏡で観察する。その結果として、脳表面から、V4、TEO、TEに蛍光のパッチの観察が可能であることが示された。このパッチの本態を知るために、環流固定後に切片を作って比較するとパッチの直下には、多数の逆行性細胞が集まっているのが見られ、強い投射のある領域がパッチとして脳表面から観察可能であることが分かった。また、注入前と後で、注入部位から、100個の視覚刺激に対する電気生理学的反応特性を調べたが、前後でよいコリレーションが見られ、CTB-Alexa 555 の注入による組織の障害は少ないことが示唆された。これにより上記の目的のための準備が整ったと考えられる。
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