研究課題
「研究の目的」本研究の目的は、神経幹細胞における15-deoxy-プロスタグランジンJ_2(15d-PGJ_2)の新規標的タンパク質を特定することにより、成体脳のニューロン新生に対する15d-PGJ_2の調節機構を解明し、神経幹細胞の運命決定に関与する新たな分子基盤を見出すことを目的とする。「研究実施計画」本年度の研究により、15d-PGJ_2は胎生マウス海馬由来の培養神経幹細胞の増殖能を二相性に調節する作用を示すことを明らかにした。すなわち、低濃度(0.1-0.3μM)では増殖の促進を、高濃度(1μM)では増殖の抑制作用を示し、これらの作用は既知の15d-PGJ_2は受容体であるP5PAR-γのアンタゴニストで影響を受けなかった。15d-PGJ_2はそのシクロペンテノン骨格中の親電子性炭素を介して、他のタンパク質・ペプチド中のシステイン残基と共有結合することが知られているので、15d-PGJ_2の標的分子としてシステインを含み、細胞内Redoxに関与するグルタチオンに着目して解析を行ったところ、15d-PGJ_2は還元型グルタチオン量を濃度依存的に減少させ、細胞内の活性酸素種の濃度を上昇させた。さらに、15d-PGJ_2の作用はグルタチオン前処理により部分的に抑制された。さらに、15d-PGJ_2は、ER5K1/2の活性化を促進することから、その標的分子としてEGF受容体シグナルの下流にあるH-Rasが考えられた。
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