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2009 年度 実績報告書

成体嗅球の新生神経細胞の生死決定時間を規定する分子機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 20022008
研究機関東京大学

研究代表者

山口 正洋  東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60313102)

キーワード神経科学 / 再生医学 / 嗅球 / 顆粒細胞 / 生死決定
研究概要

成体の嗅球では、新しく生まれた神経細胞(顆粒細胞)が神経回路に組み込まれている。新生顆粒細胞は約半数が組み込まれ、約半数は除去される。我々は新生顆粒細胞の、1. 匂い入力依存的な生死振り分けの時間枠2. 動物個体の行動に規定される生死振り分けの時間枠 という、2つの生死決定時間の存在を見出した。本研究はこれらの生死振り分けの時間枠を規定している分子機構を明らかにすることを目的としている。本年度は、2. の行動に関連した時間枠について詳細な行動解析を行った結果、食後の睡眠行動によって新生顆粒細胞の生死振り分けが促進されることが明らかとなった。その神経分子機構の候補として、「ホルモン性シグナル」「神経調節性シグナル」「嗅皮質からのグルタミン酸作動性シグナル」などが考えられた。嗅球はインシュリン含有量が多い脳領域であるため、まずインシュリンの働きを調べた。インシュリン受容体阻害剤の嗅球局所投与により、内因性インシュリンが顆粒細胞の生存を促進していることが判明したが、摂食・睡眠行動によって明らかなインシュリンシグナルの変化は観察されず、食後睡眠時の生死振り分けシグナルの本態ではないと考えられた。一方、脳波・筋電図計測により、食後に多くの徐派睡眠(slow wave sleep)が観察され、徐派睡眠の長さと新生顆粒細胞の細胞死の程度は相関していた。また、睡眠行動を阻害すると細胞死は促進されなくなった。麻酔下動物の電気生理学的解析により、脳波徐派期(自由行動下動物の徐派睡眠期に相当)には、嗅皮質から嗅球に向かうグルタミン酸作動性の求心性シナプス入力が促進することが分かった。この求心性シナプス入力は、主に嗅球顆粒細胞が直接受け取っており、これが生死振り分けシグナルの重要な候補と考えられた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Essential roles of notch signaling in maintenance of neural stem cells in developing and adult brains2010

    • 著者名/発表者名
      Imayashi I, Sakamoto M, Yamaguchi M, Mori K, Kageyama R
    • 雑誌名

      Journal of Neuroscience 30

      ページ: 3489-3498

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Perisomatic-targeting granule cells in the mouse olfactory bulb2009

    • 著者名/発表者名
      Naritsuka H, Sakai K, Hashikawa T, Mori K, Yamaguchi M.
    • 雑誌名

      Journal of Comparative Neurology 515

      ページ: 409-426

    • 査読あり
  • [学会発表] Analysis of Perisomatic-targeting Inhibitory Interneurons in the Mouse Olfactory Bulb2009

    • 著者名/発表者名
      Naritsuka H, Sakai K, Hashikawa T, Mori K, Yamaguchi M.
    • 学会等名
      7th International Symposium on Molecular and Neural Mechanisms of Taste and Olfactory Perception
    • 発表場所
      福岡、九州大学西新プラザ
    • 年月日
      2009-11-03
  • [学会発表] マウス嗅球での顆粒細胞の生死決定におけるインスリンシグナルの解析2009

    • 著者名/発表者名
      駒野清香、横山健、森憲作、山口正洋
    • 学会等名
      第32回日本神経科学大会
    • 発表場所
      名古屋、国際会議場
    • 年月日
      2009-09-19
  • [学会発表] 成体マウス嗅球における新生顆粒細胞サブタイブの補償的組み込み2009

    • 著者名/発表者名
      村田航志、中西重忠、小林和人、森憲作、山口正洋
    • 学会等名
      第32回日本神経科学大会
    • 発表場所
      名古屋、国際会議場
    • 年月日
      2009-09-17

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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