| 研究概要 |
神経カルシウム流入は、神経回路形成において重要な意義を有すると考えられるが、カルシウムによって制御される回路形成過程の実態と、カルシウムの下流分子機構には不明な点が多い。本研究計画においては、神経細胞培養系にて申請者らが見出した、カルシウム/カルモジュリン依存性蛋白質リン酸化酵素カスケード(CaMKK-CaMKI経路)による樹状突起・軸索伸展制御という細胞現象が、神経回路形成のどの過程を反映しているのか、RNAi法や薬理学的手法ならびに遺伝子改変マウスを用いて解明し、カルシウム依存的な神経回路形成の分子機構の一端を明らかとすることを目指す。初年度の本年は、上記目的を遂行するために下記の項目についての研究を遂行した。
1, 神経回路形成に関わるCaMKIアイソフォームの分子種をRNAi法により同定した。
2, 同定した分子種の神経回路形成における役割を見出すため、in utero electroporation法をもちいた遺伝子導入法のセットアップを完了した。
3, in utero electroporation法によりRNAiヴェクターを導入し、神経回路形成における各酵素の役割の検討を開始した。
4, 各酵素の活性化リガンドならびに下流情報伝達系の探索を開始した。
|
