研究課題
スフィンゴシン1燐酸(S1P)は酵母からヒトに至る真核生物に広く存在し、血管内皮細胞や繊維芽細胞等の増殖促進作用やアポトーシス抑制能など多彩な機能を有する脂質情報伝達物質である。中枢神経系ではS1Pやその産生酵素スフィンゴシン・キナーゼ(SK)が豊富に存在することから、末梢組織との類似性から神経細胞の増殖や生存に重要であると推測されてきたが、神経に特異的な機能に関しては不明であった。最近我々はラットの海馬の苔状線維にSKが豊富に存在することを免疫組織化学の手法を用いて明らかにした。これらの事実よりSKが神経伝達物質(グルタミン酸)の放出に関与する可能性を証明するために、SKの阻害剤やSKの産物S1Pのグルタミン酸放出に与える影響を海馬の初代神経培養細胞を用いて解析した。その結果海馬神経細胞の静止状態においてもS1Pがそれ自身グルタミン酸の自発放出を引き起こすことを見出した。現在これらのS1Pの作用が海馬の神経細胞に特異的な現象か否かを調べるために別の神経系を用いて解析を行っている。
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