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2009 年度 実績報告書

神経系の成り立ちにおける細胞の移動と上皮化

研究課題

研究課題/領域番号 20022028
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

高橋 淑子  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (10183857)

研究分担者 齋藤 大介  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (90403360)
キーワード神経冠細胞 / 副腎 / 交感神経 / 細胞移動 / ケモカイン / BMP / CXCR4 / Neuregulin
研究概要

発生初期にみられる神経系組織の成立機構について、神経前駆細胞の移動と上皮化に注目し、それらを制御する分子機構の解明に取り組んだ。細胞移動については、末梢神経系のほぼすべてを作り上げる神経冠細胞(Neural crest cells;神経堤細胞ともいう。以下NCCと呼ぶ)をモデルとした解析を行い、背側大動脈からの誘引シグナルについて新規の知見を得た。また上皮形成については、第二の神経管形成であるSecondary neurulationに注目し、Pax2が重要な役割を果たすことを見いだした。まずNCCのサプタイプの1つであるSA細胞の移動機構に関して、背側大動脈がSA細胞の移動を誘引する能力をもつこと、またこの誘引能の実態が大動脈付近の間充織内で発現するケモカインSDF1とNrg1であること、さらに、SDF1とNrg1の発現は、大動脈から放出されるBMP4/7により誘導されることを明らかにした。このように、SA細胞の移動において、ターゲットとなる大動脈の重要が見えてきた。SNの機構については、SNに参画する間充織様の神経前駆細胞(予定SN細胞)を同定し、これらの細胞に特異的に遺伝子導入する系を確立した。この系を用いることで、SN形成にRhoファミリーのRac1が必要であることを明らかにした。次に、予定SN領域において転写因子Pax2が特異的に発現することに注目し、Pax2をSN領域の近傍の体節細胞内で異所的に発現させたところ、異所的な神経管構造が形成されることを発見した。この異所的なSN形成の系を利用して、Pax2はその下流で他の転写因子Tbx6L(体節中胚葉の形成に必須であることが知られている)の作用を抑制することがわかった。上記の研究から、SNによる神経管形成が、Primary Neurulationとは全く異なるメカニズムによって引き起こされることが明らかになった。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Ephrin B2 coordinates the formation of a morphological boundary and cell epithe lialization during somite segmentation.2009

    • 著者名/発表者名
      Watanabe, T.
    • 雑誌名

      Proc.Natl.Acad.Sci.USA 106(18)

      ページ: 7467-7472

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Notch signal is sufficient to direct an endothelial conversion from non-endothelial somitic cells conveyed to the aortic region by CXCR4.2009

    • 著者名/発表者名
      Ohata, E.
    • 雑誌名

      Developmental Biology 335

      ページ: 33-42

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A combination of transposable elements and magnetic cell sorting provides a very efficient transgenesis system for chicken primary erythrpid progenitors.2009

    • 著者名/発表者名
      Mejia-Pous, C.
    • 雑誌名

      BMC Biotechnology 9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Simultaneous expression of different transgenes in neurons and glia by combining in utero electroporation with Tol2 transposon mediated gene transfer system.

    • 著者名/発表者名
      Yoshida, A.
    • 雑誌名

      Genes to Cells (In press)

    • 査読あり
  • [学会発表] 神経提細胞をモデルとした末梢神経系の形成機構2010

    • 著者名/発表者名
      高橋淑子
    • 学会等名
      第9回日本再生医療学会総会(招待講演)
    • 発表場所
      広島
    • 年月日
      2010-03-18
  • [学会発表] Vasculo-neural interactions during development.2009

    • 著者名/発表者名
      Takahashi, Y
    • 学会等名
      The 32nd Annual Meeting of the Molecular Biology Society of Japan(招待講演)
    • 発表場所
      Yokohama
    • 年月日
      2009-12-12
  • [学会発表] 背側大動脈の形成を支える細胞移動とNotch-ephrinシグナル2009

    • 著者名/発表者名
      高橋淑子
    • 学会等名
      第82回日本生化学会大会(招待講演)
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2009-10-22
  • [学会発表] 血管の発生とパターニング2009

    • 著者名/発表者名
      高橋淑子
    • 学会等名
      第5回Summer Vascular Conference(特別招待講演)
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2009-09-29
  • [学会発表] Cell migration during formation of blood vessels and peripheral nervous system.2009

    • 著者名/発表者名
      Takahashi, Y.
    • 学会等名
      The 61st Annual Meeting of the Japan Society for Cell Biology (招待講演)
    • 発表場所
      Nagoya
    • 年月日
      2009-06-02
  • [図書] 実験医学「胚体内の初期血管パターニングとガイダンス因子-Notch-ephrinシグナルが制御する細胞のふるまい」2009

    • 著者名/発表者名
      大畑絵美
    • 総ページ数
      1697-1703
    • 出版者
      羊土社
  • [図書] 最新医学「幹細胞研究の最近の進歩(後編)-組織幹細胞-「発生と幹細胞:神経冠細胞の移動機構」2009

    • 著者名/発表者名
      齋藤大介
    • 総ページ数
      1244-1258
    • 出版者
      最新医学社
  • [図書] 生体の医学「境界形成とEph-Ephrinシグナル」2009

    • 著者名/発表者名
      渡邉忠由
    • 総ページ数
      330-336
    • 出版者
      医学書院

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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