研究課題
ユビキチンプロテアソーム系による選択的タンパク質分解は様々な細胞機能の制御に重要である。ユビキチン代謝異常が様々な神経変性疾患を引き起こすことが知られており、神経系の制御においてもその重要性が近年明らかとなりつつある。シナプスにおけるユビキチンプロテアソーム系の関与についても近年明らかにされつつある(YaoらCell 2007)。そこで、本研究では、申請者らが最近同定した新規ユビキチンリガーゼ遺伝子に特に着目し、この変異マウスをツールとして用いることにより、タンパク質分解を介した神経伝達の調節機構を明らかにすることを目的とする。申請者はバイオインフォマティックスの方法を用い新規のユビキチンリガーゼを単離しSCRAPPERと名づけた。申請者はこれまでにSCRAPPERが神経シナプスに局在しシナプス終末からの伝達物質放出を調節していることを見出している。平成21年度は、Scrapper変異マウスを用いてScrapper遺伝子ノックアウトマウスおよび海馬での過剰発現トランスジェニソクマウスを作製し、これらの遺伝子改変マウスに対して脳における解剖学的所見を得るとともに、網羅的行動テストバッテリーによる解析を行った(統合脳第5領域宮川剛教授との共同研究)。129sv/C57BL6Jバックグラウンド系統のノックアウトマウスは野性型マウスと比較して体が小さく短命であり、成体脳では神経変性が見られた(YaoらCell 2007, Proteomics 2008)。C57BL6J系統にバッククロスを行ったノックアウト個体は生後1日で致死となってしまうことから、行動解析はヘテロ型SCR-HKOマウスにより行った。SCR-HKOマウスは行動バソテリー試験において恐怖条件付けの障害が見られた。一方、トランスジェニックマウスは野性型マウスと比較して行動に異常はないことが明らかとなった。
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The Journal of biological chemistry 285
ページ: 3840-3849
Medical Molecular Morphology (in press)
http://www3.kmu.ac.jp/medchem/index.html