研究課題
アルカデイン(Alc)は、アルツハイマー病(AD)の発症に深く関わるアミロイドβタンパク質(Aβ)の前駆体であるAPPと極めて類似した機能、構造、発現・分布、代謝を受けるI型の膜タンパク質である。神経細胞ではAlcはAPPと、細胞質X11Lタンパクを介して三量体を形成するが、X11L不在下で協調的な代謝を受ける。AlcはAPPαセクレターゼおよびγセクレターゼによる切断を受けp3-Alcフラグメントを分泌する。P3-AlcはAβのように凝集性を示さないため、p3-Alcの量的もしくは質的変化はAβの生成のsurrogateマーカーとなる。今回、3種類のAlcα、Alcβ、Alcγを発現する細胞から単離したp3-Alcの一次構造をMALDI TOF/MSMS/MS解析により決定した。ヒト脳脊髄液(CSF)中にも同じアミノ酸配列をもつp3-Alcを検出した。γセクレターゼの触媒ユニットプレセニリン1(PS1)に家族制AD変異を持つ場合は、C末の長い凝集性および病原性の高いAβ42を多く産生するが、Alcの切断も揺らぎ、C末が変化したp3-Alcの増加が認められた。そこで、AD患者CSF中のp3-Alcを健常人のp3-Alcと比べたところ、major分子種に対するminor分子種の割合が変化しており、Aβ42/40の比率と相関性を示須子とを見いだした。従って、p3-Alcの質的変化はADのバイオマーカーとなる可能性が示唆された。現在、患者サンプルを増やして統計的に有意であることを検証しつつある。また、より簡便なELISA法でp3-Alcの質的変化を検出すべく、断端特異抗体の作製に取りかかっている。
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