機能性精神疾患の病因の1つがノルアドレナリン(NA)神経機能の変化であるとする報告は数多くある。しかし、他の脳神経疾患と比較して、機能性精神疾患の病態解明が遅れている理由の1つに、その病態解明には必須であると考えられる患者のNA神経機能を非侵襲的にイメージングできないことが挙げられる。そこで、機能性精神疾患領域で強く望まれてきたNA神経のPET用分子イメージングプローブの開発を計画した。 分子イメージングプローブのターゲットとしては、NA神経のプレシナプスに存在するノルエピネフリン・トランスポータ(NET)を選択し、申請者のこれまで行ってきたNETイメージングプローブに関する構造-活性相関に関する考察を基に、F-18標識(SS)-FPBMを設計した。まず各種評価に必要な非放射性(SS)-FBBMの合成を行った。(SS)-FPBMは3-phenylglycidolと2-fluorophenolを出発原料として縮合させた。ついで、4-nitrobenzoyl chlorideとmethanesulfonyl chlorideを水酸基に付加した。得られた化合物に再度環化反応を行い、次いで開環しアミノ基を導入した。さらにchloroacetyl chlorideを反応させ、次いでpottasium tert-butoxideを反応させた。得られた化合物を還元し、ラセミ体の(RR/SS)-FPBMを得た。次年度はラセミ化合物の光学分割を行い、そのF-18標識法の確立を行い、動物を用いて本プローブの有効性を検討する。
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