機能性精神疾患の病因の1つがノルアドレナリン(NA)神経機能の変化であるとする報告は数多くある。しかし、他の脳神経疾患と比較して、機能性精神疾患の病態解明が遅れている理由の1つに、その病態解明には必須であると考えられる患者のNA神経機能を非侵襲的にイメージングできないことが挙げられる。そこで、機能性精神疾患領域で強く望まれてきたNA神経のPET用分子イメージングプローブの開発を計画した。 分子イメージングプローブのターゲットとしては、NA神経のプレシナプスに存在するノルエピネフリン・トランスポータ(NET)を選択した。NETはうつ病患者の剖検脳においてその発現が変化していることや、ADHDの治療にNET阻害剤が使用されていることなどからNA機能の変化の指標として適していると考えられる。このNETをターゲットとする分子イメージングプローブとして放射性臭素標識プローブを設計した。 放射性臭素標識プローブはヨウ素前駆体を用いヨウ素-放射性臭素交換反応により達成した。放射化学的収率は約45%、放射化学的純度は98%以上であった。この放射性臭素標識プローブをラットに投与しオートラジオグラフィー法により脳内の集積を詳細に解析した結果、放射性臭素標識プローブは脳内のNETの発現と非常によく相関した集積を示した。
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