研究課題/領域番号 |
20023019
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
永井 義隆 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第四部, 室長 (60335354)
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研究分担者 |
藤掛 伸宏 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第四部, 外来研究員 (60467595)
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キーワード | 遺伝学 / 遺伝子 / 神経科学 / 脳神経疾患 / ショウジョウバエ / 神経変性疾患 / ポリグルタミン病 / スクリーニング |
研究概要 |
ポリグルタミン(PolyQ)病は、原因蛋白質内のPolyQ鎖の異常伸長により発症する遺伝性神経変性疾患の総称で、異常伸長PolyQ鎖を持つ変異蛋白質がミスフォールディングを生じ、細胞レベル・個体レベルで様々な機能異常を来たし、最終的に神経変性を引き起こすと考えられている。しかし、個体レベルでの神経機能障害の分子メカニズム・治療標的については、これまで未解明であった。本研究では、PolyQ病モデルショウジョウバエを用いたゲノムワイドな遺伝学的スクリーニングにより、PolyQ病の可逆性神経機能障害に関わる遺伝子を同定してその分子メカニズムを解明し、神経症状に対する治療標的を特定することを目的とし、今年度は以下の研究を行った。異常伸長PolyQ蛋白質を薬剤(RU486)誘導性に神経系に発現して神経機能障害による可逆性運動障害・寿命短縮を来たすPolyQ病モデルショウジョウバエGS-ExPolyQ Flyと、様々な染色体部分欠失を持つショウジョウバエ変異体ライブラリーDef Fly(224系統)との遺伝学的交配を行なった。そして、次世代のショウジョウバエ(GS-ExPolyQ/Def Fly)の寿命を測定し、寿命短縮が改善される11系統を同定した。これらの系統の部分欠失領域には、神経機能障害の責任遺伝子が存在する可能性が示唆された。次に同定した部分欠失領域のPolyQ病モデルショウジョウバエの複眼変性に対する影響を評価したところ、9系統では複眼変性に影響を与えないことが明らかとなり、これらの部分欠失領域には神経細胞死には無関係に神経機能障害に関わる責任遺伝子が存在すると考えられた。今後、これら9系統の染色体部分欠失領域内の遺伝子について、2次スクリーニングとして遺伝子変異体ショウジョウバエを用いた実験を行い、GS-ExPolyQ Flyの神経機能障害の責任遺伝子を同定する。
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