研究概要 |
1) BDNF遺伝子メチル化の解析 今回BDNF遺伝子exon 1上流のコアー領域のシトシンのメチル化を解析した症例は39例であり、その内訳は未治療うつ病23例・抗うつ薬治療後9例・難治性うつ病電気けいれん治療前後3例・難治性うつ病1例である。Exon 1上流のコアー領域にある81個のCpGを対象に、その内の上流2領域(Ampliconl : 383bp, 23 CpG's ; Amplicon 2 : 255bp, 26 CpG's)のメチル化を、MassARRAY System(SEQUENOM)で解析した。その結果、Ampliconl領域のメチル化に関しては、特に治療前・後に特異的なメチル化の変化はみられなかった。その一方で、Amplicon 2領域では10番目のシトシンの50-60%のメチル化が、全対象で共通にみられた。 2) Tensor Imaging(DTI)による白質微細構造の解析 DTIはGE社製MRI装置Signa Excite HD3.0Tにて頭部用コイルを用い、エコープラナー法で撮像した。取得したオリジナルデータをワークステーション(Advantage Windows)に送り、歪み補正を行った後、mean diffusivity(D)画像やfractional anisotropy(FA)画像を作成した。前頭前野を含め、複数の関心領域を大脳白質内に左右別々に設定して各部位でのDやFAの計測を行った。今回は難治性うつ病8症例の、撮影を行った。 今回の研究から、BDNF遺子exon 1上の1ヶ所のシトシンのメチル化亢進が、うつ病の治療前・後および病状の程度に無関係に検出され、うつ病特有のマーカーになる可能性が得られた。
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