研究概要 |
アミロイド蛋白(Aβ)を病因分子であるとするアルツハイマー病アミロイド仮説は、家族性アルツハイマー病の遺伝子データによって強く支持されている。原因遺伝子であるAPP、PS1、PS2変異によって症状が出現する前からAβ42の上昇が認め照れており、Aβの病因論的意義は高いことが知られている。本研究では、[11C]標識したPIBを用いて、脳PETの核医学画像を多様な家族性アルツハイマー病に施行し、その結果を孤発性アルツハイマー病(n=30)、正常コントロール(n=60)と比較検討することにある。早期発症型疾患の特異性を明らかにすることは、大部分を占める孤発性疾患の脳変化を考察する上で、とりわけ重要な課題として期待されている早期診断への-助となることが考え照れる。今回解析の主対象とした家族性疾患は、PS1(n=6 : L85P, L173S, Y115C, L219P, C236T, dE9)とAPP(n=1 : V7171)である。統計分析は、ピアソンの積率相関係数を用いて解析した。すべての家族性疾患症例で線状体部分での高いPIBシグナルが検出されたことは特筆すべき結果であった。大脳皮質、とくに眼窩前頭皮質、帯状回・楔前部でもPlBシグナルは検出されていた。注目すべき結果は、線状体あるいは皮質PIBシグナルが臨床症状である認知症障害度と一致しない点である。孤発性疾患とのPIBシグナルを比較した場合、線状体で高く、皮質で低い点が強調するに値する。一方、PIBシグナル強度が示唆するAβアミロイド沈着量は、今回の研究対象となった遺伝変異種(部位)、認知度と一致しないことが明らかとなった。
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