研究課題/領域番号 |
20023038
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
長谷川 成人 (財)東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (10251232)
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研究分担者 |
野中 隆 財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 主席研究院 (30356258)
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キーワード | TDP-43 / タウ / αシヌクレイン / リン酸化 / ユビキチン化 / 断片化 / 線維 / アミロイド |
研究概要 |
本年度は主に患者脳にみられるTDP-43蓄積を細胞内で再現する細胞モデルの構築を行った。野生型のヒトTDP-43、及び核移行配列の可能性がある二つの配列、PKDNKRK(78-84)とPLRSRK(187-192)を欠損させた変異体をSH-SY5Y細胞に発現し、細胞内局在の変化や凝集体形成の有無について、抗リン酸化TDP-43抗体、及び抗ユビキチン抗体を用いて検討した。その結果、78-84欠損(△78-84)変異体を発現した細胞では細胞質に局在が観察され、187-192欠損(△187-192)変異体を発現した細胞では核内に顆粒状のTDP-43の局在が観察された。さらに細胞をプロテアソーム阻害剤であるMG132で処理した結果、△78-84には細胞質に、△187-192細胞は核内に大きな凝集体様の構造物が観察され、それらは抗リン酸化TDP-43抗体、及び抗ユビキチン抗体に陽性を示した。また△78-84と△187-192の2カ所を欠損させた変異体ではMG132処理なしでも細胞質に明らかな凝集体系性が観察された。この実験から、TDP-43の核移行配列、あるいはRNA認識配列の障害にプロテソームの障害が加わった場合、凝集体の形成が促進される可能性が示唆された。現在のところ、いずれの発現細胞においても、顕著な細胞死は観察されていないが、凝集体形成が認められた欠損変異体において、TDP-43の機能として知られているCFTRエクソン9スキッピング活性の低下が観察されている。その細胞内凝集の引き金になる可能性(あるいは、その逆の可能性)もあり、注意深く解析を続けていきたい。今後はこの細胞モデルを用いてTDP-43の凝集を抑える薬剤の探索などを検討する。
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