研究課題/領域番号 |
20025004
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
細谷 裕 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50324744)
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研究分担者 |
波場 直之 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00293803)
尾田 欣也 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (60442943)
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キーワード | 素粒子理論 / ヒッグス粒子 / ゲージ・ヒッグス統合理論 / ニュートリノ / ブラックホール / 細谷機構 / フレーバー混合 |
研究概要 |
標準理論を超える物理が2008年から始まるLHCの実験で見えるか。ヒッグス粒子、フレーバー混合、ブラックホール生成の物理を鍵に、余剰次元の存在を検証できるか。これが本研究課題で追求する中心テーマであり、ゲージ・ヒッグス統合理論、フレーバー混合、ブラックホール生成を、主に余剰次元の観点からLHC実験への帰結に焦点をあて研究する。ヒッグス場の起源については、細谷機構により電弱ゲージ対称性をダイナミカルに破るゲージ・ヒッグス統合理論を展開した。 細谷達は高次元ゲージ理論でヒッグス場とゲージ場を統合するモデルを構成した。具体的にはRandall-Sundrum時空上で、現実的なクォーク質量を再現するSO(5)xU(1)モデルを作った。クォークはSO(5)ゲージ群のベクトル表現として導入され、細谷機構とブレーン相互作用の両方で質量を得る。驚くべきことに、トップクォークの量子効果が大きく、細谷機構で電弱対称性が自発的に破れることが示された。この対称性の破れは、余剰次元におけるAharonov-Bohm効果であり、細谷達のモデルでは、Aharonov-Bohm位相がちょうど90度の値をとることが示された。ヒッグス粒子の質量は50GeV程度に予言された。これは一見、LEP2の実験からくる制限と矛盾するようにみえるが、実は、ZZH結合がちょうど零になり、LEP2の実験とは矛盾しない。標準理論からの大きなずれはヒッグス粒子の他の場への結合の仕方に現れる。Ahamnov-Bohm位相が90度のとき、WWH, ZZH結合だけでなく、クォークの湯川結合も零になる。 これらの予言は、標準模型や超対称性模型ではあり得ないが、ゲージ・ヒッグス統合模型では自然な帰結となる。これらはLHC実験で検証可能であり、もし確認されれば、対称性の自発的破れの構造が、標準理論から大きくずれることを証明し、その意味は非常に大きい。
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