本研究の目的である、発見が期待されるヒッグス粒子が新粒子として実際に発見された場合に、その性質を測定しそれが実際にヒッグス粒子であることを確定するためにはどのような量をどのように測定すれば良いのかについて、いくつか生成過程についてヒッグス粒子の生成とその崩壊過程の研究を行った。 平成20年度はトップクォーク随伴生成反応によるヒッグス粒子の生成とその崩壊過程を用いてヒッグス粒子のトップクォークヘの結合定数の大きさの測定の可能性についての研究を行った。当初、研究を行っていた二光子へ崩壊する過程のみではなく、τ粒子対、またWボゾン対へ崩壊する過程の研究へ拡張を行った。結果は日本物理学会の秋季大会にて発表を行ったが、質量の測定精度の良い二光子崩壊過程ばかりではなく、τ粒子対やWボゾン対へ崩壊する過程も300fb-1の高統計のデータがあれば十分ヒッグス粒子の生成と崩壊の断面積×崩壊比の測定が可能であることが分かった。 現在、解析を改善するために測定器の効果に依るバックグラウンドの正しい評価、及び分布の形のフィッティングを行うことによる統計精度の改善に取り組んでいる。 この結果をヒッグス粒子のトップクォークへの結合定数の測定に結びつけるためにはさらに別のヒッグス粒子の生成・崩壊過程の結果との比較を行わなければならない。現在、Zボゾン対への崩壊過程、及びZボゾンの随伴生成反応とボトムクォークへの崩壊過程を中心に検討作業を行っている。
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