研究概要 |
この研究は, 水素, ヘリウム同時照射下でのミラー材の劣化挙動を調べ, プラズマ監視システムのミラー材としての適用性を評価することを目的としている. 今年度は, 実機環境を想定して, ヘリウム・重水素の二重ビーム照射下での反射率をその場測定できる装置を製作した.同時に, 重水素, ヘリウムの単独照射下でのMo, W, SUSミラー材の反射率の測定を行い, 反射率の照射量, 照射エネルギー, 波長依存性を調べた. さらに, SEM, AFMによる表面観察, TEMによる内部観察分光エリプソメトリーによる屈折率, 消衰係数の測定を行い照射による劣化機構に関する知見を得た. 主要な結果は以下のようである. 1)未照射材については, 実測した反射率の波長依存性が, 分光エリプソメトリーの測定結果や, 第一原理計算の結果と良く一致する. 2)1-3keV程度のヘリウムイオンを1.5×10^<23>ions/m^2程度照射した範囲では, 同様なエネルギーの重水素イオンを照射した場合よりも反射率の劣化が多きい.3)反射率の劣化は表面の凹凸だけでは説明できず, 表面直下の損傷(バブル等)形成が効いていることが, 内部観察や, 分光エリプソメトリーの測定による実効的な屈折率や, 消衰係数の減少からも明らかになった. 4)Mo単結晶と, 多結晶を比較すると, ヘリウム照射下でも単結晶の方が表面剥離が少なく反射率の劣化が小さい. 一方, 多結晶Moでは, 結晶粒によって表面剥離の程度が異なる. 5)Mo単結晶はミラー材としてより適していると思われる.
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