• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2009 年度 実績報告書

非破壊的ポイントコンタクトの形成と伝導度の3次元的計測

研究課題

研究課題/領域番号 20027008
研究機関京都大学

研究代表者

奥山 弘  京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (60312253)

キーワード分子コンタクト / 電子伝導
研究概要

本研究課題は走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて、金属電極とSTM探針間に単分子を架橋し、この系の伝導度を計測することを目的としている。従来の研究と異なる点は、分子接合を非破壊に可逆的に形成した上で伝導度を計測することであり、分子接合研究に新たな実験手法を提案することにより、分子伝導に関してより深い理解を得ることを目的としている。
まず、6KのCu(110)表面上に今回対象分子としたベンゼンを吸着させ、STM探針に拾い上げた。このベンゼン/探針系は非常に安定であり、表面に吸着した銅原子への接触に対して可逆的に分子接合の形成を繰り返すことができる。そのときの分子-銅原子間の相対距離に対して伝導度を測定した。伝導度はトンネル領域から0.1GOでバリスチック領域に入る。すなわち、探針-ベンゼン-銅原子系の伝導度は0.1GOと決定された。一方、分子-探針系を先に作成することにより、規定された表面電極の構造と伝導度の関係について調べることが可能になる。すなわち、表面電極として銅原子による「アダトム電極」と清浄面による「フラット電極」を用意し、同じ探針-分子系を用いてそれぞれの電極に対し接合を形成した。その結果、アダトム電極との接合による伝導度が0.1GOであったのに対し、フラット電極によるそれは0.2GOと2倍の伝導度を示した。この差はベンゼン分子と表面電極の接合構造の差に起因するものである。本研究により、これまで重要であると認識されながら実験的には全く調べられなかった、電極構造と分子伝導の関係を特定の分子系に対して初めて明らかにすることができた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文]2010

    • 著者名/発表者名
      T.kumagai, M.Kaizu, H.Okuyama, S.Hatta, T.Aruga, I.Hamada, Y.Morikawa
    • 雑誌名

      Physical Review B 81

      ページ: 045402/1-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Tunneling dynamics of a hydroxyl group adsorbed on Cu(110)2009

    • 著者名/発表者名
      T.kumagai, M.Kaizu, H.Okuyama, S.Hatta, T.Aruga, I.Hamada, Y.Morikawa
    • 雑誌名

      Physical Review B 79

      ページ: 035423/1-6

    • 査読あり
  • [学会発表] Visualization of proton quantum sharing in a hydrogen-bonded complex2009

    • 著者名/発表者名
      H.Okuyama, T.kumagai, M.Kaizu, S.Hatta, T.Aruga, I.Hamada, Y.Morikawa
    • 学会等名
      第26回ヨーロッパ表面国際会議
    • 発表場所
      イタリアパルマ
    • 年月日
      2009-09-01

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi