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2009 年度 実績報告書

単一分子伝導理論

研究課題

研究課題/領域番号 20027017
研究機関独立行政法人産業技術総合研究所

研究代表者

浅井 美博  独立行政法人産業技術総合研究所, 計算科学研究部門, 研究グループ長 (20192461)

キーワード単一分子架橋系 / 電気伝導と熱伝導 / 理論・シミュレーション / 電子・フォノン散乱効果 / 電子相関効果・GW近似 / 局所熱発生 / 非弾性トンネル分光(IETS) / 分子エレクトロニク
研究概要

電気伝導に伴う局所発熱の理論
昨年度、非弾性散乱の結果生じる発熱と発生熱の熱電極への伝導・拡散を自己無撞着に取り扱う理論をフォノン伝導も含めて導出した。(Phys.Rev.B78,045434(2008))今年度はこの理論を用いて実験研究がなされている幾つかの系に対して適用計算を行った。特にTao等が実験研究を行ったアルカン・ジチオール分子系における計算を行った結果、実験的に見積もられている有効温度(T_<eff>)の電圧依存性を定性的に良く再現する結果が得られた。特に、高バイアス側では発生熱の熱電極への伝導が顕著になり、Todorov・DiVentra等のバルクフォノンモデルから推定されているT^4_<eff>~V^2からの小さなずれが見られる事が明らかになった.更にこの局所発熱(分子内部の熱発生と熱拡散のバランスで決まる)に対する電子相関の寄与を調べる為の理論を遮蔽クーロン近似(GW近似)の範囲で導出し、幾つかの系においてフォノン効果とクーロン斥力効果を併せた競合問題に対するテスト計算を行った。その結果、アルカン・ジチオール分子系の様な深いトンネル系においては、IETSに対する電子相関効果はマイナーである一方、共鳴系にある金ワイヤーなどの系においては、クーロン斥力がある充分に大きいと、フォノン由来の非弾性トンネルスペクトル(IETS)のオフ・セット領域や局所発熱に電子相関からの顕著な影響が現れることが判明した。この問題に関してもDiVentra等の先行研究があるが、フォノン熱拡散や流体力学的な取り扱いに基づく現象論的な電子相関に無理があり、我々の結果とは異なる点が随所に現れる。IETSの詳細な構造や熱・エネルギー問題を扱う際には接合界面における温度強化条件などをかなり真面目に扱う必要がある事がこの事から伺い知れる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] First principles band structure calculations based on self-consistent screened Hartree-Fock exchange potentia2009

    • 著者名/発表者名
      T.Shimazaki, Y.Asai
    • 雑誌名

      J.Chem.Phys. 130

      ページ: 164702-1-164702-2

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 電気伝導シミュレーションの現状と課題2009

    • 著者名/発表者名
      浅井美博、広瀬賢二、小林伸彦、石田浩
    • 雑誌名

      日本物理学会誌 64

      ページ: 263-269

    • 査読あり
  • [学会発表] 分子接合系における局所熱発生とエネルギー変換過程の理論2010

    • 著者名/発表者名
      浅井美博
    • 学会等名
      日本物理学会2010年・年次大会シンポジウム“分子狭窄系の物理"(依頼講演)
    • 発表場所
      岡山大学・津島キャンパス(岡山市)
    • 年月日
      2010-03-21
  • [学会発表] Many body effects on energy dissipations accompanying charge transport through single molecular bridge junction2010

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro ASAI
    • 学会等名
      March Meeting, American Physical Society
    • 発表場所
      Portland (OR), U.S.A.
    • 年月日
      2010-03-17
  • [学会発表] 1次元狭窄系の物理2009

    • 著者名/発表者名
      浅井美博
    • 学会等名
      日本学術振興会「ナノ物質量子相の科学」に関する研究開発専門委員会第7回幹事会(単分子エレクトロニクスの現状と将来)(依頼講演)
    • 発表場所
      国際高等研究所(京都府木津川市)
    • 年月日
      2009-12-12
  • [学会発表] 非平衡量子伝導シミュレーションとその基礎理論研究の現状2009

    • 著者名/発表者名
      浅井美博
    • 学会等名
      日本コンピュータ化学会2009秋季年会(特別講演)
    • 発表場所
      東北大学・青葉山キャンパス(仙台市)
    • 年月日
      2009-11-12
  • [備考]

    • URL

      http://staff.aist.go.jp/yo-asai/index.html

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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