研究概要 |
研究代表者(山本)と海外協力研究者Th. A. Rijkenによって中間子論的SU3不変模型Extended Soft Coremodel(ESC)が開発されてきた。この模型においては、従来のeffective scalar mesonsに代わってtwo mesonexchange(pair term)の寄与が直接取り入れられ、極めて良い精度でNN散乱位相差のデータを再現すると同時に、ハイパー核のデータとの全体的な整合性に関しても従来の相互作用模型を凌駕している。今年度は、ESC模型より導かれるG行列相互用G_<NN>(r ; ρ, E)を用いたfolding modelによる核子(N)-核散乱および核-核散乱の解析が大きく進展した。とりわけ、ESCで核物質の飽和性を保証するために取り込まれている3体斥力の効果がO^<16>-O^<16>散乱等の角度分布に顕著に現れることが示されたことは大きな成果である。N-核散乱および核-核散乱の解析を更に系統的に行うと共に、同様の理論的枠組によるハイペロン-核間相互作用の研究への展開が試みられた。従来のESC模型には、実験が示唆する強いΣ-核間斥力が出せない問題があったが、今年度に開発されたESCO7においては、クォーク模型で与えられるPauli forbidden statesの影響を現象論的に取り入れることで問題の解決が図られた。N-核の場合と同様の枠組で得られるΣ-核相互作用を用いてΣ-核散乱の微分断面積を計算し、得られる角度分布のパターンがΣN相互作用の特徴を反映することを示した。この結果はJ-PARC等における将来の実験の必要性の根拠となるものである。
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