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2009 年度 実績報告書

磁場下におけるスピン三重項超伝導相の物性

研究課題

研究課題/領域番号 20029014
研究機関京都大学

研究代表者

池田 浩章  京都大学, 理学研究科, 助教 (90311737)

研究分担者 野村 拓司  日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (90373240)
キーワード物性理論 / 強相関系 / 超伝導
研究概要

スピン三重項超伝導体Sr2RuO4の磁場下における超伝導相での振る舞い、特に、Hc2の面内回転の等万性、パウリ限界的な振る舞い、および、ナイトシフトにおけるdベクトルの異方性エネルギーの小ささを理解する事を目指して、微視的なモデルに基づいて、おのおの具体的な評価を行った。特に、dベクトルの異方性エネルギーについては、ハバードモデル、d-pモデルの両モデルにおいて、比較を行った結果、モデルのパラメータにかなり敏感で、カイラルな状態は研究当初に考えられていたほどには、堅固でないことが分かった。この研究テーマに関しては、研究期間内に明確な答えを導く事ができなかったのが悔やまれるが、今後の礎にはなったと考えている。また、これと平行して研究を行った新規鉄系超伝導体は、同じように多バンド系で生じる超伝導であり、ここでは、バンド計算で得られた、現実的なバンド構造に基づいた5軌道ハバードモデルを研究した。摂動論やFLEX近似の範囲で相関効果を取り入れ、その正常状態の物理量の振る舞い、および、超伝導相図などについて、世界に先んじて一定の研究成果を挙げる事ができた。ここで用いられた、バンド計算からモデルハミルトニアンを構築する方法は、非常に一般的であり、多バンドの系を具体的に研究する上で、今後、非常に有効であることが一連の研究から明らかとなった。この方法論をSr2RuO4などの多バンド超伝導体に用いる事で、これまでのバンド構造に関する曖昧さは、かなり軽減されることになろう。こうして、この2年間で得られた研究成果は、当初期待した目的とは異なる側面において、今後の発展が期待できる非常に有意義なものとなった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Is Fermi surface nesting the origin of superconductivity in iron pnictides? : A fluctuation-exchange approximation study2009

    • 著者名/発表者名
      R.Arita, H.Ikeda
    • 雑誌名

      J.Phys.Soc.Jpn. 78

      ページ: 113707-1-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Perturbation Theory of High-Tc Superconductivity in Iron Pnictides2009

    • 著者名/発表者名
      T.Nomura
    • 雑誌名

      J.Phys.Soc.Jpn 78

      ページ: 034716-1-12

    • 査読あり
  • [学会発表] 鉄ヒ素超伝導体におけるdppモデルに基づくギャップ異方性の解析2009

    • 著者名/発表者名
      池田浩章、有田亮太郎
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      熊本大学
    • 年月日
      2009-09-26
  • [学会発表] 鉄ニクタイドにおける共鳴非弾性X線散乱の理論的研究2009

    • 著者名/発表者名
      野村拓司, 山川洋一, 柳有起, 大野義章
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      熊本大学
    • 年月日
      2009-09-26
  • [学会発表] Effect of spin-orbit coupling on the d-vector in Sr2RuO42009

    • 著者名/発表者名
      T.Nomura
    • 学会等名
      NSP2009 KYOTO
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2009-09-14
  • [学会発表] Pseudogap and superconductivity in iron-pnictides2009

    • 著者名/発表者名
      H.Ikeda
    • 学会等名
      International Conference on Materials and Mechanisms of Superconductivity
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2009-09-10

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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