研究課題/領域番号 |
20029016
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
市岡 優典 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (90304295)
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研究分担者 |
町田 一成 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (50025491)
水島 健 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (50379707)
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キーワード | 超伝導・超流動 / 量子渦 / 冷却原子気体 / ヘリウム3 / 非従来型超伝導 / 物性理論 / スピン三重項対 / 低温物理学 |
研究概要 |
冷却原子気体で実現が期待されているスピン三重項p波超流動に注目し、秩序変数に内部自由度のあるp波超流動状態での渦状態について理論研究を進めている。原子気体でのp波超流動は研究の萌芽期にあり、今後の実験観測でどのような渦状態が現れるかの理論予測を早期に行い、今後の実験研究のための指針を示すことを目指して研究を行った。また、ヘリウム3の等方的p波超流動やルテニウム酸化物のカイラルp波超伝導との共通性も視野に入れて、これらの系での特異な渦状態についての研究も関連して進めた。 研究方法としては、内部自由度のあるp波超伝導・超流動の渦状態の空間構造や、関係する物理量の計算を可能とするための計算手法として、現象論的手法であるGinzburg-Landau理論による計算方法と、定量的に正しい微視的理論による評価を行うための準古典Eilenberger理論やBogoliubov-deGennes理論による計算方法を開発した。そして、これら複数の方法による計算を行い、互いに補いながらp波超伝導での特異な渦状態を総合的に解明する研究を進めている。 特に注目した研究対象の一つは、カイラルp波超伝導状態での渦状態である。この渦状態においては、低励起準粒子状態に現れるマヨラナ状態が注目されており、超伝導の弱結合から強結合へ移り変わる過程における、マヨラナ状態の構造の変化を明らかにした。また、関連して、ヘリウム3超流動での微小円筒回転系でマヨラナ状態が現れる条件の評価も行った。もうひとつに興味深い渦状態としては、ヘリウム3超流動で実現しているMermin-Ho渦と呼ばれる渦芯のないトポロジカルな構造の渦である。その渦構造の微視的理論での計算を行うとともに、ヘリウム3の場合との違いとして、冷却原子系の場合での閉じ込めポテンシャルの効果の評価など研究を進めている。
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