研究概要 |
イオン液体そのものに触媒活性点を保持きせるために、イミダゾリウム系イオン液体のカウンターイオンとして金属イオンを含んだ系の合成、それらの結晶構造の解析、有機合成反応への応用、触媒担体への固定化を行ってきている。本研究課題においては、金属イオンを含むイオン液体の新規合成を進めるとともに、固定化イオン液体層に関して、EXAFSスペクトル、振動スペクトル、イオン伝導度、誘電率測定などの物理化学的測定により、構造と物性の相関に関して新しい知見を求め、センサー動作、触媒作用への展開に取り組んでいる。シリコン基板への固定化は、1-メチル3-トリメトキシシリルプロピルイミダゾリウムクロリドをクロロホルムに溶解し、スピンコートを複数回行なってから、アルゴン中で110℃で24時間加熱し、その後清浄クロロホルム中で超音波洗浄を行なう、という方法で行なった。作成した基板については、AFM測定、XPS測定を行なった。 固定化イオン液体層のイオンの動的挙動を解析し、通常のイオン液体の場合との類似点、相違点を明らかにするために、液体窒素温度から60℃までの温度可変型の誘電率測定システムの開発を行った。低周波数領域(1Hz〜1kHz)の測定ではロックインアンプ、高周波数領域(100Hz〜40MHz)ではインピーダンスアナライザー(HP4194A)を用いての測定が可能である。測定したサンプルは、BmimBF_<4>, BmimPF_<6>BmimTFSA, BmimClである。測定電極にはITO基板を用い、スペーサーには厚さ200μmのテフロンを用いた。それぞれの温度の緩和時間についてアレニウスプロット、VFTプロットをを行ったところ、後者の方がより良く直線にフィットできた。また、Cole-Coleプロットをとったところ、円弧型誘電緩和に従っていることが確認されたが、融点がもっとも高く、従って、イオン液体中の水素結合の強度がもっとも強いBmimC1が単一のDebye緩和過程からのずれが大きかった。
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