研究概要 |
イオンデバイスの固体化を目的としてイオン液体の高分子化も検討されている。一方で、イオン液体モノマーのラジカル重合をはじめとする代表的な固体化の手法では、イオン伝導パスのナノ構造制御が困難であることが課題であり、これまで系への液晶構造の導入などが検討されている。本研究ではイオン液体マトリックスの組織化の新たな検討として、ルイス酸一ルイス塩基相互作用を利用した自己集合マトリックスの構築を試みた。 2つの有機ホウ素ユニットを有するイオン液体は、1,3-ジアリルイミダゾリウムTFSAに対して2当量の9-BBNを作用させることにより行った。このイオン液体のクロロホルム中溶液に等モル量のピラジン、あるいは1,4-ジアザビシクロオクタンを加え、1時間反応を行った。減圧下でクロロホルムを留去したのちジエチルエーテルで洗浄し、目的の自己集合マトリックスを得た。構造は^1H-及び^<11>B-NMRにより決定した。ピラジン由来ポリマーはオレンジ色の固体であり、1,4-ジアザビシクロオクタン由来ポリマーは白色の固体であった。それぞれの収率は54%及60%であった。配位子として4,4'-ビピリジルを検討したが、この場合には溶媒に可溶なポリマーを与えなかった。それぞれのポリマーにリチウム塩を添加後、真空乾燥を十分に行い、交流インピーダンス法によりイオン伝導度を評価した。LiTFSAの存在下においてピラジン由来ポリマーは51℃において8.8x10^<-6>Scm^<-1>のイオン伝導度を示し、1,4-ジアザビシクロオクタン由来ポリマー(5.4x10^<-6>Scm^<-1>)と比較して有意に高い値を示した。
|