研究概要 |
前年度までに開発した、イオン液体中でのポリアミドの解重合反応をさらに効果的に行うために、触媒であるDMAPの構造を組み込んだアンモニウム塩の合成を行った。市販の4-ブロモピリジンに対して、N-メチルピペラジンをBuchwald-Hartwig反応させたところ、N-メチル-N'-(4-ピリジル)ピペラジンを得た。この反応はXPhosを配位子としたパラジウム触媒で進行し、溶媒としてDMEを用いた場合がもっともよい収率で生成物を与えることがわかった。得られたN-メチル-N'-(4-ピリジル)ピペラジンに対してヨウ化メチルを作用させると、3つの窒素のうち、相的の窒素が第四級アンモニウムとなった、N, N-ジメチル-N'-(4-ピリジル)ピペラジニウムヨージドだけが溶媒から結晶化して析出したので、これをろ取することで、目的のアンモニウム塩を合成することができた。収率は28%と必ずしも高くなかったが、目的の窒素のみを選択的にメチル化できたので、目的のDMAPを組み込んだPP13タイプのアンモニウム塩の合成に成功した。他のアミンからも同様に種々のDMAP誘導体を合成でき、これをアンモニウムかして、TMPAにDMAPを組み込んだイオン液体も合成できた。これらアンモニウムは残念ながら室温では固体であったが、イオン液体には溶解したので、これらを含むイオン液体を使ったナイロン6の解重合反応を行った。予想通り、ここで合成したDMAPを組み込んだアンモニウム塩を加えたイオン液体は良好な解重合特性を示し、ナイロン6をよい収率で解重合してカプロラクタムを与えた。また繰り返し利用も可能であり、従来のように反応のたびにDMAPを加える必要がないことがわかった。
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