プラスチックの解重合媒体としてのイオン液体の利用を発展させるために、不飽和ポリエステルの解重合反応を検討した。フタル酸由来の不飽和ポリエステルに対し、イオン液体[TMPA][TFSA]を作用させて、300℃に1時間加熱したが、反応後クールロール処理により回収できたフタル酸無水物はわずか5%にすぎず、うまく解重合が進行しないことがわかった。しかし、家庭用電子レンジで1分間加熱した後、クーゲルロール処理したところ、今度は解重合がうまく進行し、フタル酸無水物を22%回収することができた。この樹脂は元々フタル酸無水物が27%含まれていた樹脂であるので、フタル酸としての回収率は81%となった。従ってイオン液体を加熱する際にマイクロ波照射は大変効果的な加熱法であることがわかった。興味深いことに、これ以外の成分、たとえばポリスチレンはこの条件で解重合したところ、イオン液体中にはほとんど残っておらず、超音波照射でポリスチレンの解重合も同時に進行し、生じたスチレンが揮発して除かれてしまったことが強く示唆された。イオン液体は[PP13][TFSA]も同様に利用できることがわかった。このイオン液体は繰り返し解重合に利用することができ、5回の繰り返し利用でも解重合効率が落ちないことがわかった。不飽和ポリエステル由来の廃プラスチックとしてFRPの解重合を検討したが、フタル酸無水物を回収するとともに、リンカー由来のポリスチレンも分解されて、きれいなガラス繊維の回収が可能であることもわかった。すなわち、イオン液体にマイクロ波照射を用いることでより効果的にプラスチックの解重合が達成できることが明らかとなり、この方法論の展開が期待できる成果が得られた。
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