研究課題/領域番号 |
20031020
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
荒殿 誠 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (20175970)
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研究分担者 |
松原 弘樹 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (00372748)
瀧上 隆智 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (40271100)
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キーワード | 全反射XAFS / イオン液体吸着膜 / 吸着の相図 / 剰余ギブズエネルギー / 表面張力 |
研究概要 |
カチオンを共通にもつ1-hexyl-3-methylimidazolium bromide(以下HMIMBr)と1-hexyl-3-methyl imidazolium tetranuoroborate HMIMBF4の混合吸着膜における対イオンの分布を、表面張力法と全反射XAFS法により明らかにした。骨子は以下の通りである。 (1) 溶液中ではBF4が2割程度でも、界面では8割程度以上がBF4である。また理想混合よりもさらに吸着膜はBF4に富んでいる。これらの結果は、BF4はBrに比べて水和が弱くまたイミダゾリウムカチオンとの相互作用が強いことによる。また、HMIMBrにHMIMBF4を加えた際にはBF4の優先的イオンペアー形成により対イオンの混合のエントロピーが著しく低下すること、一方HMIMBF4にHMIMBrを混合した際にはイオン対を形成していないイミダゾリウムカチオンの量が膜中で増加して静電反発によるエンタルピー上昇があることなどの可能性が高い。 (2) 全反射XAFS実験からは、K吸収端ジャンプ値で規格した後のEXAFS領域でのスペクトルは測定全濃度および混合組成でほとんど変化しない、したがって溶媒和構造解析に利用するk^3χスペクトルもほとんど全濃度および混合組成を変えても変化しない、ことが明らかになった。観測されたスペクトルの解析からは、ほとんどの全濃度および混合組成で、6水和したBrイオンのみが存在することが明確に示された。これは界面にBrとBF4がともに存在する場合には、明らかにBF4が優先的にイミダゾリウムカチオンとイオンペアーを形成し、Brはカチオン近傍から遠ざけられていることを示している。
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