研究課題/領域番号 |
20031022
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
後藤 雅宏 九州大学, 工学研究院, 教授 (10211921)
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研究分担者 |
神谷 典穂 九州大学, 工学研究院, 准教授 (50302766)
久保田 富生子 九州大学, 工学研究院, 助教 (60294899)
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キーワード | イオン液体 / 酵素反応 / リパーゼ / 生体触媒 / 環境調和プロセス / 逆ミセル / マイクロエマルション / ナノ集合体 |
研究概要 |
イオン液体は溶媒物性のチューニングが可能な溶媒であり、その化学構造設計により高極性かつ疎水性という極めて特異な溶媒物性を示すことが可能な溶媒である。このようなイオン液体は水、有機溶媒に次ぐ第3の溶媒として捉えられ、生体触媒の反応溶媒としても大変興味深い。 本研究では、このような生体分子(タンパク質や酵素)に、イオン液体のナノ空局という新たな機能発現(反応)の場を与えることが目的である。逆ミセルは、非水系にナノオーダーの安定な微水環境を与えることができる。酵素やタンパク質に代表される生体分子は、おおむねナノオーダーの大きさを有しているため、生体分子をその殻の中に安定に可溶化できる。これら分子集合体が作り出す特異環境は、バルクの水中と大きく異なる性質を有しているため、取り込まれた酵素やタンパク質の特異機能発現の場として有効であると考えられる。本研究では、種々のイオン液体中で安定な逆ミセルを設計し、クリーンで高効率な環境調和型の酵素変換反応を検討した。イオン液体中に逆ミセルを形成し、その内水相に酵素を可溶化するというアプローチである。アルキル鎖が長く十分に疎水性の高いイオン液体(C8bmim)を合成し、1-ヘキサノールを補助溶媒として加えると、イオン液体に界面活性剤AOTが溶解した。ここに微量の水を添加するとAOTの自己集合によって水がイオン液体に均一に分散したイオン液体中逆ミセルが形成された。逆ミセルのWo値(Wo=[水]/[界面活性剤])の増加に伴いミセル粒径が増大することを動的光散乱法(DLS)によって確認した。このイオン液体逆ミセルには様々な酵素やタンパク質を可溶化することができ、内水相に封入された酵素が高い触媒機能を発現することを確認した。
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