研究課題/領域番号 |
20031028
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
金久保 光央 独立行政法人産業技術総合研究所, コンパクト化学プロセス研究センター, 主任研究員 (70286764)
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研究分担者 |
亀田 恭男 山形大学, 理学部, 教授 (60202024)
児玉 大輔 日本大学, 工学部, 准教授 (50307807)
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キーワード | イオン液体 / ガス吸収 / 溶液構造 / 二酸化炭素 |
研究概要 |
イオン液体は、一般に蒸気圧が極めて低く、難燃性で、広い温度範囲で利用できるなど、ガス分離精製の吸収液として長所となる多くの特徴をもつ。我々は、それらの特徴を活かし、イオン液体を用いたガス分離精製法や二酸化炭素の分離回収技術の開発を進めてきた。本研究では、優れたガス(CO_2)吸収特性を示すイオン液体の開発とガス吸収メカニズムの解明を主な目標として研究に取り組んだ。 本年度は、特に酸(HA)-塩基(B)型のイオン液体(HA+B→[BH][A])を新たな対象とし、CO_2の吸収特性を調べた。酸-塩基型のイオン液体としては、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)をカチオン、ビス(トリフルオロスルホニル)アミド(Tf_2N-)をアニオンとした[DMFH][Tf_2N]を採り上げた。[DMFH][Tf_2N]のCO_2溶解度は、多くのイオン液体で観察される顧向と同様に、一定温度では圧力増加に伴い増加し、同圧下では温度上昇に伴い減少した。また、吸収液の密度は圧力増加に伴い僅かに減少することが明らかとされた。一方、平衡下の気相密度は純粋なC0_2の値とほぼ一致し、[DMFH][Tf_2N]は気相中にほとんど溶出しないことが確認された。一般に酸-塩基型のイオン液体は蒸気圧が高いことが指摘されているが、本研究の結果は酸-塩基型のイオン液体でも大気中への放散が小さく、ガス分離精製などで十分に利用できることを示している。 また、イミダゾール系イオン液体を主な対象として、X線構造解析やNMR緩和時間測定などによりCO_2吸収メカニズムの考察を進めている。
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