研究概要 |
本研究は、技術者の業績と人物像を生き生きと物語る史料としての「追悼文」に注目し、これを系統的に収集し、技術革新経験に関する知識基盤として技術者教育に活用する可能性と方策について研究を行うものである。 平成20年度は, 以下のことを行った. ● 所在源調査に関しては、本年度は学協会機関紙、業界紙、新聞, 追悼文検索辞典等の文献資料の探索、及び、インターネットによる調査を行った。その結果, 追悼文検索辞典より500例以上を検出したが, 現在即時入手不可能な文献が多かったため, 年度内の原文収集は断念した, 一方, 学協会機関紙からは, 200件以上の追悼文を抽出し, 現在そのデータベース化を進めている. ● 追悼文の教育利用については, まず技術者教育のロールモデルの観点からみた利用の是非について検討を行った。その結果, これまでの技術者は,その社会的役割がクローズアップされていないことが浮き彫りとなり, 社会的役割を見せるという意味では技術者教育への応用は可能であることが示唆された. ただし, そのためには人物伝から何かを読み取る基礎教育が必要で, 昭和前半期は初等・中等教育機関において「伝記を読む」という形で人物伝を読むことの意義が取り上げられていたが, 昨今はそれが減少する傾向にあることも見出された.
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