研究課題/領域番号 |
20033010
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小川 正 京都大学, 医学研究科, 講師 (50311197)
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研究分担者 |
熊田 孝恒 独立行政法人産業技術総合研究所, 人間福祉医工学研究部門, グルサプリーダー (70221942)
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キーワード | 注意 / 前頭連合野 / サル / ヒト / ニューロン活動 / サッカード / 適応 / 学習 |
研究概要 |
ヒトや動物がさまざまな木の実を食べたとき、「赤い実は美味しかったが」青い実は不味かった」という経験を繰り返せば、「赤い色→美味しい」という経験から「赤い色」への嗜好を徐々に強め、最終的には赤い色に意図的に注意を向けて木の実を探すようになるだろう。本研究では、このような未知の問題状況から新たな刺激情報を見出し、知識として確立するときに働く注意メカニズムの役割を前頭連合野のニューロン活動を記録することによって調べることを目的とする。 実験では、未知の問題状況から新たな刺激情報を見出し知識として確立するような状況を作り出すため、「ルールの更新を伴った視覚探索課題」を考案した。平成20年度は、サルにこの課題を習熟させる訓練を行った。その結果、多数の色刺激からなるアレイ刺激から、正解となる色を事前に教示しなくても、サルが自発的に正解となる色刺激を探索し、目標刺激を連続して選択するように訓練することができ、学習後は80%以上の試行成功率に維持するようになった(小川)。また、ヒト被験者においても同様の視覚探索課題を行わせ、行動データを取得することができた(熊田)。 これらの成果によって、未知環境下から意義情報を抽出する過程を実験室内でシミュレートすることが可能なことを実際に示すことができた。平成21年度は、訓練済みのサル前頭連合野からニューロン活動を開始し、脳内メカニズムを明らかにすることを試みる。また、ヒト被験者から得られた実験結果と比較することにより、サル・ヒトに共通した神経メカニズムについて考察することを試みる。
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