研究課題
アリがコロニーサイズに依存し適切に行動を切り替える化学生態学的基盤と自己組織化的制御機構の解明を行い、シミュレーションモデル化された制御機構を実アリで厳密にテストすべくモデルの出力を実アリデータにフィードバックし比較した。その結果、シミュレーション結果は実アリに比べると大きなコロニーで制御が効きすぎている傾向が示唆された(論文発表済 : Kikuchi, et.al. 2008)。コロニーサイズ情報の担体と考えられる、体表炭化水素各成分の活性・機能を生物検定により厳密に確認した。分画された各成分を用い生物検定した結果、卵巣発達個体に特異的な長鎖のB群と呼ばれる成分ではく、組成が同じで構成比が違う短鎖のA群に活性が認められた。(2)全く新規な試みとして、コロニーサイズの変化に反応し女王やワーカーがどう行動や内部状態を切り替えるのが自然選択上生き残る戦略なのか、集団遺伝学的な数理モデル(動的ゲームモデル)を立て検討し(すでに初稿ガアクセプト : Ohtsuki & Tsuli 2009)、モデルが予測するワーカー産卵およびその監視行動のコロニーサイズ依存性をトゲオオハリアリでテストした。結果はモデルの予測(大コロニーでは, ワーカー産卵が制御されないのが適応的)を強く支持するものであった。これらの発見は社会性昆虫学ではどれも画期的なものである。自然選択で進化したと考えられる実アリのシステムの実体に関するこれらの成果は、そしてシミュレーション・ロボットによるシステムの比較を通し、社会の制御機構を進化させる「自然の設計原理」に関し様々な示唆を与えるものである。
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