研究概要 |
生体の運動習熟過程の解明するために, 次の二つのアプローチをとった. [1] 数理モデルアプローチ (1) 機械的弾性の適応調節により関節剛性を最適化して, アクチュエータの必要エネルギーを最小化する方法を提案した. これにより, 登坂歩行, 階段昇り歩行が可能な2足歩行ロボットが, Passive Active Combinationによって, 最小エネルギーで実現できることをシミュレーションよって確認した. (2) 2関節6筋モデルにおいて, 作業座標系のフィードバック制御, 繰り返し学習制御等における作業空間から筋空間への非線形変換とその結果生じる筋群間の内力の関係を明らかにするために, まず2関節6筋のシミュレータを開発した. 特に, 筋空間から作業空間(極座標系)への変換は, 線形変換となることを解明した. また, フィードバック制御の安定性の限界を議論できる理論的な枠組みを完成した. さらに, 運動の習熟に従って, 手先運動が目標運動に収束して, 内力が一定の値に収束する方法を提案して, シミュレーションによって, その有効性を確認した. [2] 生体計測アプローチ 手先に慣性, 弾性等の負荷を与える装置を製作し, 被験者が目標運動に習熟する過程を, 上腕三頭筋外側頭, 大胸筋, 腕トウ骨筋, 三角筋後部, 上腕二頭筋長頭, 上腕三頭筋長頭の6筋の活動を筋電によって計測する目的のシステムを実現した. 実際に, 運動の習熟の計測を開始して, データを取得しつつある. 運動の習熟が顕著に現れる作業の選定を行っている.
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